ひとりごとみたいな。ふたことめ

 

ふたりめ。推しってやつ。

 

ひとつめのバンドの時のときに、それからふたつめの時に、それぞれどう思いながら見てきて、見送ったかは書いたことがあるからいいとして。

 

どんなふうに好きだったかも、本人に文字で伝えたから、(そしてその下書きが手元に残っているから)もうよくて。

 

この人と同じグループに入ろうと思うと全人類を割るのが2回でやっと。もし同じクラスにいたらきっと苦手なタイプ。

 

なのにどうしてか一目惚れしたあの夜から、私の中の大事なバンドマン第1位をぶっちぎりで独走し続けている不思議な存在。

 

 

ここ暫くの自分はといえば、「推しに胸を張って会える自分でいたい」を第1の指針とすることに、違和感が生じ始めていて。

 

頑張ってる?の、あの日とは、立場も状況も変わって、目指していたものも諦めて。

 

ひとまず目の前にある仕事はこなすことに必死で、これでがんばってると言えるのか、だとか。自分が好きでなりたい職業でもないのに、これをがんばってどうするんだ?とか。

 

快適に生きてみようと思って、選択の基準を快と不快にしてみたら、えらく自分勝手な人間に成れ果てていたり。(今思えばそりゃそう、これは赤ちゃんといっしょ。)

 

転職したところで、自分がこのままだったら意味が無い、とか。

 

違う、違う、違う。何がって、自分が。

 

 

 

 

そうしたら、彼が言った。

 

 

「自分を好きでいること。」

 

 

好きな自分でいること。

 

 

それが大事だと。

 

 

 

腑に落ちた。落ちてしまった。

 

なんだよシンプルな答えじゃないか、仕事ができるようになりたいのもがんばりたいのも、見た目やコンプレックスやなんやをどうにかしたいと思うのも、ライブハウスを捨てられないのもかといって別の将来も捨てられないのも、全部これじゃないかよ。

 

 

と、夜中にTwitterに垂れ流しながらひとりで号泣し、やっとこの感情を飲み込んで心の中に据えて、考えている。

 

 

 

 

 

 

 

ところでそんな彼が20216月に無所属になり、今度はいつ会えるかしらとぼんやり思いながら迎えた112日わたしの誕生日すなわちスーパーシンガーソングライターの誕生日ワンマンの日、

 

彼がギターを持ってステージに現れた。

 

まあちょっとそんな気はしてました、主役の匂わせはしっかり香ってたし、いやでもまさかそんなHAHAHAと思っていたら!

 

聴けたのは3曲。

 

泣こうと思ったら泣き崩れることは出来た。

直視出来なくて顔を覆いそうになった。

 

でも、意識してそうしなかったのは、「見なきゃ」の一心。

 

目で追ってしまうのは、そのひとだけ。

 

ドラムのカウント1発目を聞けば、この曲って脊髄でわかる。

爪が手のひらに刺さるほど強く握りこんだ拳を、ステージに届けと無我夢中で空に突き刺す。

 

この高揚感は、2年ぶりだった。

 

この2年、この数時間、この2曲、存分に楽しんだ。それは絶対嘘じゃない。

 

でもやっぱりこの2人がいっしょにいると、わたしはこのうえなく幸せでたまらなくされてしまうのだ。

 

 

 

 

 

 

 

ライブ後、腰の引けている私を友人が推しの前に引っ張っていってくれた。

 

目が合った彼は、「おちちゃん」と言った。

目を細めて、嬉しそうに笑った。

 

その顔を、いまもしっかりと覚えている。

 

 

身じろぎするほどまぶしくて、息を飲んで固まるしかできなくて、うわ泣く、と思った瞬間、「泣いちゃう!泣いちゃう!」って言われて。

 

ほんまにいつもすぐ泣いてすみません、と思いつつ、笑っちゃって。かなわないんだよな、とか。

 

そんな状態でも「お元気ですか?」って聞き返せたのは、元気?って絶対聞いてくれるってわかってたから。

 

誕生日なんですって言ったら、その日かけてたハッピーバースデーめがねをくれて。

写真を何枚か撮ってもらったことと。6月と同じ、「ごめんね」と「またね」をもらったこと。

 

それから。

 

推しを持つ全人類に聞きたい。

「半年ぶりに会った推しが、自分を認知してプレゼントをくれて。帰宅後に自分が更新したSNSを推しが見て、DMくれて、そのプレゼントに来年サイン書くからね、約束ねって言ってくれたら、どうする?どんなきもち?」

 

 

今日会えたことも、プレゼントもサインも嬉しい。

でもなにより、いまも来年もわたしがあなたのこと好きなままだと、わかってくれていることがいちばんうれしい。

 

つぎの誕生日に会えるかもしれないと思うだけで、今年の冬までそわそわしながら過ごしてしまう。

その日のために、なんだって頑張れてしまう。

 

 

 

どこにいたっていなくたって、会えなくたって、結局わたしの推しは彼しかいないのだ。